副業元年2017 今人気の副業は?

政府が推進する「働き方改革」の流れを受け、今、サラリーマンの副業事情が大きく変わろうとしている。しかし実際には、多くの企業が副業解禁に尻込みしているのが実情。2018年、サラリーマンの副業はどう変わる?(清談社 あまの和代)

17年は副業解禁元年だったがいまだに多くの企業は尻込み?

 2017年は「副業解禁元年」と呼ばれている。16年12月、厚生労働省による「モデル就業規則」の副業・兼業禁止規定の見直しが発表され、政府が「原則禁止」から「原則容認」に転換したことが、その理由だ。

 国内最大手のアフィリエイトサービス「A8.net(エーハチネット)」の会員数も、昨年は急増した。運営会社、ファンコミュニケーションズの広報・下坂乃奈子氏は言う。

アフィリエイトは昔から副業としても人気でしたが、17年の会員登録数の増加は今までにないもので、毎月平均1万2000件という数をマークしました。16年が毎月平均1万件だったので、約20%の増加ということになります。副業解禁元年が影響したのは、ほぼ間違いないと感じています」

 これまで副業に興味のなかった層が、メディアを通じて副業解禁という言葉を知り、この機会に挑戦してみようと思い立ったということのようだ。

 ただし、そうはいっても副業解禁の認知度はまだ低く、現実的にも、企業の多くが副業に対して消極的な姿勢であることも否めない。

「企業によって、考え方はまったく違います。ほぼ完全禁止というところもあれば、表向きには禁止しているけど実際は黙認状態である、という会社もあります。中小企業の場合、『社内規定がどうなっているかをそもそも知らない』という声も少なくありません。副業元年といっても、完全に浸透するにはまだ時間がかかるでしょう」

 リクルートキャリアが行った「兼業・副業に対する企業の意識調査」を見ると、「兼業・副業を容認・推進している企業」は全体の22.9%しかなく、8割近くの企業が副業を禁止しているということになる。

 その一方で、大企業が副業の容認を大々的に公表している例もある。日産自動車富士通ロート製薬などがそうだ。

「終身雇用制度が崩壊した今、副業を容認することは、先進的な企業であるというアピールにも繋がります。若い世代にとって職場の副業の可否というのは、今後さらに重視されるようになるのではと考えます」

 副業を容認しない企業自体、選ばれない時代へと変わりつつあるのだ。

少ない時間で大きなリターンランチ副業が新たなトレンド?

 副業人口が増えるに従い、副業自体も大きく変化している。かつてのような内職やアルバイトといった、時間と体力を奪われるような職種ではなく、自分の好きなときに好きなだけできる副業が、最近の主流だ。

「自宅の部屋を貸し出すシェアリングエコノミーや、イラストやPC業務などの特技を時間単位で売ることのできるスキル販売、そのほか裁縫代行業、家事代行業、翻訳、ブログライティングなど、副業のジャンルは多岐にわたっています。もちろん、アフィリエイトやポイントサイトなど、既存の副業も根強い人気です。いずれも空いた時間を使ってできるので、本業への影響はほぼ出ないといえます」

 たとえば、前述したA8.netが行った調査の中に、毎日副業をする会社員は、3人に1人が昼休みの時間を利用しているというデータがある。家に帰ってPCに向かって…というスタイルは時代遅れであり、ランチタイムを使ってブログ発信、情報収集、受注状況のチェックなどなど、副業のジャンルに応じての作業が可能だ。

「本業に支障が出ない範囲で、効率よく、最小限の労力で収入を得るという“ランチ副業”の風潮は、まさに今の時代に則した副業のやり方だと思います。働いた分だけ収入が入るというのは、ネットのない時代の固定概念です。今の副業は作業時間をいかに少なくして、大きなリターンを得られるかという方向にシフトしています」

 ランチタイムに限らず、とにかく時間が空いたら、それをムダなく使って収入に繋げるのが、今どきの副業なのだ。最後に、今後注目の副業についても聞いてみた。

「弊社の『来年チャレンジしたい副業』という調査では、1位がアフィリエイト(62.3%)、2位がその他(33.9%)、3位が株・FX・投資(25.1%)という結果になりました。『副業収入の主な使いみち』でも、株などの投資が3位にランクインしています。真新しいジャンルではありませんが、多くの人が、仕組みを作って大きく稼ぐ、“成功報酬型”に注目しているといえます」

 3位にランクインした「株・FX・投資」は、いわゆる副業とは少し毛色が異なるが、多くの人が副収入源確保に熱い視線を送っていることが見て取れる。アフィリエイトも投資も、当然のことながら日々の努力や最低限の勉強なしに成功はあり得ないが、始めている人はとっくに始めているという現実に違いはない。副業が可能な環境であれば、リスクの低いものから始めてみるのはどうだろうか。