マーケティング戦略 ロジックツリー ビジネスフレームワーク

ロジックツリーとは、文字どおり論理を構成するツリー上のものです。ロジックツリーは、表層に見えている問題から、真の問題を発見する上で、大変役に立ちます。

 ●ロジックツリーの例 


交通手段は、陸路、空路、海路と分けることができます。陸路はさらに電車、車、徒歩・・・などと分けていくことができます。さらに電車なら新幹線、在来線に分けていくことができます。さらに新幹線なら自由席、指定席(あるいは禁煙席、喫煙席)に分けられます。

この一連の分解を図にしたものが下の図です。




ロジックツリーにすることで、方法を網羅的に考えることができます。

実際にロジックツリーを構成するときは重要なところだけ掘り下げます。例えば、大阪から東京に行くのにクロールで行くかバタフライで行くかを真剣に検討しても仕方ありません。

しかし、原因究明や問題解決のためには、いらないと思う部分も上位の方で網羅してほうがよいでしょう。検討した上で切り捨てるのと、始めから検討しないのとでは大きな違いがあるからです。


よく、原因を突き止めるために何故を5回繰り返せと言いますが、ロジックツリーも5階層くらい作るとよく分析できるそうです。(逆に5階層くらい掘り下げないと誤った判断になる可能性が高くなります。)


ロジックツリーで重要なのは、最初の階層はできるだけ上位概念で分けることです。上の交通手段の例で、最初の階層からいきなり「車、飛行機、船・・・」とやり始めると切り分けが大変になり、モレが生じやすくなります。

上の例のように「陸路、空路、海路」とか「人力で動かすもの、動力のあるもの」など、最初は大きな枠組みで考えるとモレが少なくなります。

 ●ロジックツリーのメリット 


①問題の全体把握が容易
ロジックツリーを広く、深く構成すると問題の全体像が明確になります。全体像が把握できると、一押しだった案がダメになっても、別の案をすぐに容易できるというメリットがあります。また、広く検討した上での最善の結論であるということがわかりやすいので、交渉やプレゼンでの説得力が増します。

②議論のズレを修正できる
上の例でいうと、「新幹線の自由席」と「レンタカー」の優劣を論じても、お互いの階層が異なるので優劣を比較できません。この場合は、「電車」と「車」といった同じ階層のもので優劣を論じる必要があります。(上の例ではまずありませんが、実場面では階層のズレたところで議論を戦わすことがよくあります。)

 

ここでは、ロジックツリーの作成方法を解説します。

 ●顕在化している問題を探す 


ロジックツリーの場合、出発点に設定するのは、原因を掘り下げて考えたい問題や解決すべき課題になります。

前者の場合だと、「なぜ売上が落ちているのか?」、「なぜ在庫水準が多いのか?」などが出発点になります。

後者の場合だと、「売上をあげるには?」、「来客数を増やすには?」といったことが出発点になります。

 ●出発点の問題を分解する 


次に、出発点の問題を分解する必要があります。分解とは、いくつかの要素に切り分けることです。要素の切り分けの際にはMECEを強く意識する必要があります。

 MECEの切り口を考える 


頂点の問題をMECEに分解しくといっても、MECEの切り口には様々なものがあります。例えば、車のディーラーで、売上が落ちているといった場合、MECEの切り口には次のようなものが考えられます。

・車種別 ・顧客の年齢層別 ・燃費別 ・店別 ・月別

など、他にもたくさんあります。

切り口を考える際に重要なのは、何を知りたいかです。A支店の売上が悪そうだという仮説を持っているのに、車種別の売上を調べても効果は薄いでしょう。MECEの切り口を考える際に、その切り口で切るとどんなことがわかるのかも、併せて考える必要があります。

<分解切り口の参考ページ>
現象をモデルで考える
ROAツリー
売上高の分解


また、MECEの切り口を作る際には、広く知られているフレームワークを参考にしてもよいでしょう。(詳細はフレームワーク思考に記載)

 MECEの分解パターン 


MECEに分解するための3つの代表的なパターンを紹介します。

足し算型(同質のものの組み合わせ)
足し算型とは、全てを足し合わせると全体になるような分解の仕方です。足し算型には次のような例があります。

売上 = A店の売上 + B店の売上 + C店の売上 + D店の売上

掛け算型(異質の組み合わせ)
掛け算型とは、全てを掛け合わせると全体になるような分解の仕方です。掛け算型には次のような例があります。

売上 = 従業員1人あたりの売上 × 従業員数

プロセス型
プロセス型とは、結果に至るまでの行為をプロセスで分解するパターンです。例えば、顧客の購買に至るまでのプロセスAIDMAを使うと次のような分解できます。

商品を買ってくれない訳
=そもそも商品を知らないから + 知っているが興味がないから
 + 興味を持っているが欲しいと思わないから + 欲しいと思うが動機がないから
 + 動機はあるが行動できないから

 ●分解のコツ 


分解する際に、必ずMECEに分けるコツは、「XとX以外」という分け方です。基本はこれでOKです。ただし、X以外に情報の8割くらいが入るようでは、切り方が甘いといえます。その場合は、X以外の中で、いくつか分解できないか、再度考える必要があります。

 ●分解したものがMECEがどうか確認する 


上記のように、車のディーラーの売上を店別に分解すれば、必ずMECEになります。しかし、場合によっては、分類の仕方がMECEかどうか判別しにくい場合があります。そういう場合は、具体的な例をいくつか出して確認することが必要です。その例が、どの分類にも属さない場合は、モレがある状態ですし、2つ以上の分類に属してしまう場合、ダブりがある状態といえます。

例えば、世の中の飲み物の容器をMECEに分解するときに、缶、瓶、ペットボトルと分けたとします。ここで、紙パックという例を出せば、分類の仕方がMECEではないということがわかるので、分類の仕方を変える(少なくともその他を加える)必要があります。